ティラン海峡国立公園

ティラン海峡は、シナイ半島とアラビア半島の二つの峰に挟まれたアカバ湾南部(湾の入り口)に位置します。海峡の中央付近にはティランリーフという4つの リーフ(サンゴ環礁)があり、19世紀にイギリスの海洋学者によって、それぞれジャクソンリーフ、ウッドハウスリーフ、トーマスリーフ、ゴードンリーフと 名づけられました。この地域は、2019年11月より、国立公園に指定されました。

また、このエリアは海峡が狭く、強い潮の流れが珊瑚に栄養をもたらすため、リーフは生き生きとした色鮮やかな珊瑚に覆われていることが特色です。

ジャクソンリーフ(Jackson Reef)

ティランリーフの一番北に位置するジャクソンリーフは、座礁船ララ号と東側にある灯台が目印です。リーフの周りは、切り立った岩場に囲まれていて、水面から水深20mの間には色とりどりの珊瑚がびっしりと群生しています。

通常は船をリーフの南側に停泊させて、西側のコーラルガーデンをじっくり潜ります。エントリー後、西側斜面に向かって、水深20m~30mをゆっくりと リーフ沿いに進んでいくと、点在する美しいウミウチワをはじめ、色鮮やかなハードコーラルがびっしりと広がっています。沖のほうにはムレハタタテダイやア カモンガラが群れを作って泳いでいます。それから深度をゆっくりと上げていくと、水深10mから浅瀬には、一面に広がる金色のハードコーラル(ファイヤー コーラル)と、紅海を主張するようなキンギョハナダイの乱舞を見ることができます。またここでは、アオウミガメが珊瑚を食べる様子を観察できるかもしれま せん。そのほか浅瀬に点在する砂地では、エンマゴチやモヨウフグ、オニダルマオコゼなどを見つけることもできます。コーナー付近は流れが強いこともあるの で、注意が必要です。

また穏やかな天候の時には、ドリフトダイビングでリーフの南側から東側の灯台がある方へドリフトすることもできます。灯台付近のコーナーは水深15mの 小さな棚が続き、棚の上は潮の流れを受けて成長した、色鮮やかな珊瑚の庭園になっています。コーナーの終わりに差しかかると、沖へと流れる強い流れがある ので、注意が必要です。

コロモラン(Kormoran)

コロモランとは船の名前で、1984年8月、アカバ湾からの移動中に珊瑚に衝突して沈船となりました。船の大部分は座礁時の衝撃で崩れてしまっていますが、ここでは一面に広がる美しい珊瑚を見ることができます。年間を通して、この辺りは、うねりがある場所となっておりますので、夏場の限られた時期しか、このポイントでのダイビングが出来ません。その結果、ダイバーのあこがれのポイントとなっております。

ラグーナリーフ(Laguna Reef)

ラグーナリーフはティラン海峡の東側に位置し、サウスラグーナ(南側)とノースラグーナ(北側)があり、それぞれ海底でティラン島につながっています。

サウスラグーナは、天候が悪く、風の強い日でも非常に穏やかな場所で、日中はシャルムからの日帰りボートがランチタイムに訪れ、夕方からは多くのサファリボートが停泊して夜を過ごします。

ダイビングの中心はサウスラグーナ付近で潮の流れに合わせたドリフトダイビングをします。浅瀬の斜面にはテーブルコーラルガーデンが広がり、たくさんの紅 海の固有種の魚たちがいます。水深10mから25m程は穏やかな砂地の斜面になっています。この辺りでは、珊瑚をすみかにしているデバスズメダイ等の色鮮 やかな魚たちが生活しています。また砂地で休んでいるトラフザメやネムリブカに遭遇するかもしれません。

ノースラグーナは通常、強い北風によって生じるうねりのため、年間を通じても数十日ほどしかダイビングすることができません。風もなく天候の穏やかな時の みドリフトダイビングが可能です。ここはダイビングができるチャンスが少ないため、珊瑚は生き生きとした状態で保たれています。一度潜ったダイバーは、絶 対にこの素晴らしい珊瑚の森を忘れることはないでしょう。

 

ウッドハウスリーフ(Woodhouse reef)

ジャクソンリーフとトーマスリーフの間に位置するウッドハウスリーフは、細長いリーフの形状をしています。通常は穏やかな西側の斜面を長いリーフに沿っ て、ドリフトダイビングします。ダイビングは、西側斜面の中間に位置するキャニオン(岩の大きな割れ目)の少し手前からエントリーします。エントリー後、 水深20m付近は棚になっていて、生き生きとしたハードコーラルが広がっています。棚を過ぎると、大きなキャニオンが見えてきます。キャニオンからリーフ のコーナーに向かうエリアの浅瀬には、赤や白、紫といったとてもカラフルなソフトコーラルの群生を見ることができます。

また風もなく穏やかな天候の時には、北側の斜面をドリフトしていく事も可能です。キャニオン付近からエントリーした後、リーフ沿いにコーナーを回ります。 コーナー付近の珊瑚は、強い潮の流れの影響で、大きく成長しています。また、この付近は、ダイバーがあまり潜らないこともあって、シャルム・エル・シェイ クの中でも数少ない、手付かずでありのままの美しいコーラルガーデンの一つといえるでしょう。

トーマスリーフ(Thomas Reef)

ティランリーフの中で一番小さいトーマスリーフは、ゴードンリーフとウッドハウスリーフの間に位置します。リーフの周りは切り立った岩肌に囲まれていて、 深いところまで切り込んでいます。ダイビングは、リーフの東側からエントリーし、リーフを左に見ながらドリフトしていくのが一般的です。エントリー後、水 深20mから30mまで、ゆっくり潜降していくと、大きな棚になっていて、幅4m以上の大きなウミウチワが群生しています。流れの弱い時には、ここでじっ くりとクダゴンベを探すのもよいでしょう。棚を過ぎると、大きなキャニオン(岩の裂け目)が見えてきます。この辺りで少し沖のほうへ向かうと、イソマグロ の群れに出会うことがあります。コーナー付近は流れが次第に強くなるので、リーフに寄ってドリフトしていきます。コーナーを過ぎると流れが弱まるか、反対 に流れ始めます。リーフの西側には地形の入り組んだ小さな渓谷が続き、浅瀬にはカスミアジの編隊がタカサゴの群れを追いかける様子を見ることができるで しょう。

また、トーマスリーフの南側斜面は多くの種類の珊瑚、魚が生息するエリアでもあります。キンギョハナダイの群れが、太陽の光を浴びて、オレンジ色に輝き、青い海を紅色に変えています。

ゴードンリーフ(Gordon Reef)

ティランリーフの中で一番、南に位置するゴードンリーフは、座礁船The Lovila が目印です。ダイビングの中心は、南側から東側にかけてのエリアで、天候が悪く、風の強い日でも非常に穏やかな場所です。水深8m付近にはハードコーラル ガーデン(岩珊瑚の平地)が広がっています。ここでは、よく全長1m以上もある巨大なドクウツボが見られます。つづく砂地の傾斜面には、小さな珊瑚の根が 点在しています。特に浅瀬10m付近では、白い砂地に反射した太陽光が水中を明るく照らし、珊瑚やチョウチョウウオ、スズメダイといった魚たちを美しく演 出しています。深度20mまで下りると広がる砂地の急斜面には沢山のドラム缶がころがって、人工の珊瑚礁のようになっています。 中層をレットシー・ストライプド・アンティアス(固有種のキンギョハナダイ)がオレンジ色を埋め尽くし、ドロップオフ沿いにはムレハタタテダイが群れを 作って泳いでいます。